相続のセミナーにお越し頂くと、みなさんいろんなことをお話になります。
家族のこと。財産のこと。頭の中がまとまっておらず、こちらが整理しながらまとめていくことも、よくあります。
けれども、相続の問題って、じつはこの2種類に限られます。
だからこそ、相続=お金持ちだけの問題ではないのです。
相続の問題はこの2種類!
相続の問題は、どんなに複雑であっても、この2種類に分けられます。
- 分割の問題
- 税金の問題
平成27年より、相続税の改正により基礎控除額が4割下がりました。
これにより、一気に相続税の対象者が増えました。
よくある相続問題の取り違え
お父様も含めたご家族で、相続があった場合、法定相続分ずつ母と姉妹で分けようと日頃から話しているご一家。
姉妹はとても仲が良く、
「父が面倒くさがって、遺言書を書いてくれないんですよ~」と姉妹のお二人が私にお話になりました。
私は、こんなに姉妹が仲良く、日ごろから分け方について話しているなら、この家族は、これといった問題がなさそうだなと思っていました。
ところが、ご両親から相続財産を聞いていくと、確実に相続税がかかるだろう金額。
私はお二人にこう伝えました。
「○○さんの場合、法定相続分ずつにしようと話しているのなら、遺言書で分け方を指定してもらわなくても大丈夫かと思います。
先に考えるべきことは、遺言書ではありませんよ~。
まず税金対策を考えるべきです。このままでは、お母様以外のお二人には高額な相続税がかかりますよ!」
その後、お父様も含め、税金対策としてまず、死亡保険の非課税枠をフル活用すること、生前贈与について詳しくお話しました。
こういった問題を勘違いしているケースは度々あります。
先ほどの家族とは逆のケースで、相続税がかからないのに、税金の心配をしている一方で兄弟が不仲な場合もあります。
このケースでは、税金対策は必要ないので、しっかりと分割対策をする必要があります。
分割問題は、想いとスキル
税金対策は、「合法的に相続税を払わない方法」を考えることにつきます。方法は色々ありますが、中には不動産活用などハードルが高いものもあります。
一方で分割対策は、「どのように相続人間で財産を分けていくのか」について考えることになるので、被相続人(=相続される人)の気持ちがより反映されやすくなります。
身近なものですと遺言書で分割を指定してしまうケースがあります。
作成時から、ご自身の想いが変わることも多々ありますが、変更や取り消しも可能です。
自筆証書遺言の場合、以前に書いたものを破棄し、新しいものを用意すれば一定のルールに従った内容であればOKです。
遺言書には必ず日付を記入することになっているので、破棄し忘れた古い遺言書が出てきたとしても、新しい日付の遺言書が有効になるので、問題ありません。
ですので意外と簡単に内容変更が可能です。
これに対し、公正証書遺言を修正・変更する場合は、公証人の日当や手数料が再度かかるところがデメリットですね。
分割対策に使える死亡保険
「死亡保険の活用」と言うと、非課税枠500万円×法定相続人と思われる方がほとんどです。
うちは相続税がかからないから、非課税枠も必要ないと思われがちですが、死亡保険金は節税対策だけでなく、分割対策にも有効です。
と言うのも、死亡保険金は受取人を指定できるからです。
死亡保険金=受取人固有の財産となり、遺産分割の対象から外れるので、お金の行き先を簡単に決められるという利点があります。
お金に名前を付けられるという意味で、公正証書遺言よりも手軽に始められるのではないでしょうか。
保険加入時から、分割に対する想いが変わった時には、遺言書同様、死亡保険金の受取人変更もできます。
どちらを活用するにしても、相続が始まってからでは遅いのです。
生前にできる簡単な分割対策として、遺言書の作成・死亡保険金の活用はお勧めです♪